Japan Vision Vol.137|未来に残したい行事 青森県八戸市
春を呼ぶ豊年祈願の郷土芸能 『八戸えんぶり』

images

  • images
  • images
  • images
  • images

未来に残したい行事として、青森県八戸市の郷土芸能「八戸えんぶり」をご紹介します。春を呼ぶ豊年祈願のお祭りで、舞い手たちの華やかな衣装や独特の舞が魅力の行事です。

★田んぼをならすように農具片手に舞い踊る
------------------------------
「えんぶり」は、鎌倉時代初期にはじまったといわれる歴史の長い民族芸能で、豊年を願う予祝行事として小正月に行われてきました。その名は田をならす農具「えぶり」や、「いぶり」(ゆすぶり)に由来すると言われ、冬の間眠っている「田の神」をゆさぶり起こし、田に魂を込める儀式とされています。「えんぶり」の一番の見どころは、太夫(たゆう)と呼ばれる舞手が、馬の頭をかたどった華やかな烏帽子(えぼし)を被り、頭を大きく振る独特の舞です。その舞は、稲作の一連の動作である、種まきや田植えなどの動作を表現したもので、太夫の舞の合間には、子どもたちによる可愛らしい祝福芸も披露され、見る者を楽しませてくれます。えんぶりは組ごとに行われ、太夫のほか「親方」「舞子」「お囃子」などの総勢20~30人で組が構成されています。

★ひとつひとつデザインが凝った「烏帽子」
------------------------------
「えんぶり」を見る時にぜひチェックしていただきたいのは、太夫がかぶっている烏帽子(えぼし)のデザインです。烏帽子は馬の頭のような形をしていて、色合いは輝くような金色、そして烏帽子の両側に描かれている絵がひとつひとつ違うのも注目ポイントです。よくご覧いただくと、烏帽子の飾りが2種類あることに気づきます。「えんぶり」では舞うことを「摺る(する)」と言いますが、古くから伝わる型でテンポがゆっくりとした「ナガえんぶり」と、振りが大きく新しい型の「ドウサイえんぶり」という2つがあり、どちらを摺る組なのかによって、烏帽子の装飾や絵柄の特徴が違うのです。ドウサイえんぶりの烏帽子には5色の房が付けられていて、房のないナガえんぶりの烏帽子は、牡丹などの花が飾られていることが多いようです。

★30組が舞う「一斉摺り」
------------------------------
「八戸えんぶり」の日程は、週末に合わせることなく毎年2月17~20日に開催されます。17日の朝には、各えんぶり組が長者山新羅神社に集まり、本殿にえんぶり摺りを奉納します。その後、えんぶり組が八戸市中心街に移動して行われるのが「一斉摺り」です。30を超える組による一斉の舞は、えんぶり行事の中でも最大の見どころで、大勢の観衆が集まり大きな盛り上がりを迎えます。えんぶり摺りの合間に子供たちが可愛らしく舞う「祝福芸」が演じられ、期間中は八戸市公会堂で行われる「えんぶり公演」、明治時代に建てられた財閥の邸宅「更上閣」の庭園で夕方から夜にかけて行われる「お庭えんぶり」など、ゆっくりと落ち着いて見られる演目も用意されています。

伝統を守り、舞の型や演目を増やしながら人々を楽しませてきた「八戸えんぶり」は、まさに「未来に残したい行事」ですね。2019年はお祭りが始まる17日が日曜日にあたりますので、青森県にお越しの方はぜひ、「八戸えんぶり」をご覧になってみてはいかがでしょうか。

■参考:八戸市観光情報サイト「八戸観光Navi」
https://hachinohe-kanko.com/10stories/hachinohe-enburi


近くの街のフコク生命
オリジナルご当地キティ

images

青森県の名産「りんご」は涼しい気候に適した果物のため、青森県での生産が盛んになりました。りんごの品種は世界で約1500種あると言われ、青森県では約50種の品種が生産されています。その中でも「ふじりんご」が有名で、青森県が誇る、蜜入りりんごの代名詞です。袋をかけて育てたのを「ふじ」、袋をかけずに育てたのを「サンふじ」と言います。

ページの先頭に戻る