Japan Vision Vol.141|未来に残したい行事 宮城県牡鹿郡女川町
復興への希望『女川町復幸祭』 後世へ語り継ぐ「逃げろ!」の掛け声

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宮城県女川(おながわ)町は、2011年3月11日に発生した東日本大震災で、大きな被害を受けた町の一つです。町の半分以上が津波によって流され、死者・行方不明者数は甚大なものでした。ですが女川町では、1日も早い復興を目指す!という強い想いから、震災2ヶ月後には町民を勇気づけるためのお祭りを開催しました。そのお祭りは、名前と形を変えながらも毎年の恒例行事となり、今年で9回目を迎えます。世界有数の好漁場・漁業の町として知られる女川町ならではのグルメが楽しめるお祭りと並び、津波避難の重要性を後世に伝えるための前日祭「津波伝承 女川復幸男」も、とても大切な行事です。今日は「未来に残したい行事」として、『女川町復幸祭』をご紹介します。

★男たちが一斉に高台へ走り出す「復幸男」
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女川町の商工業者たちが一丸となって、震災発生の2ヶ月後に開催した『おながわ復幸市!』は、事業再開に向けて始動している姿勢を全ての町民たちに示しました。2012年には町内の若者たちの企画が立ち上がり、「女川町商店街復幸祭」として、町外からも多くの人が集まるイベントに生まれ変わっています。大きな経済効果を生むとともに、復興を強く推進する姿勢を多くの人と確かめ合う場にもなったのです。
津波で大きな被害を受けた女川町が、お祭りを作り上げて行く中で、後世に残そうと考えたのは「逃げろ!」というメッセージでした。津波避難の基本はとにかく高台へ逃げることであると伝えるために、2013年に「復幸男」が初開催されています。兵庫県の西宮神社で毎年開かれる「福男選び」にあやかって、参加者たちが一斉に走り出し高台にある白山神社を目指す行事です。
スタート時間は女川に津波が到達した午後3時32分、そしてスタートの合図は「逃げろ!」の掛け声です!復興が進むにつれて毎年姿を変えていく女川の町を、未来への願いを込め、大勢の参加者が駆け抜けていく光景は、大きな活力に満ち溢れています。トップでゴールした人は「女川復幸男」として認定を受け、会場内で祭をPRする役目などを担うのだそうです。
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★“海の恵み”を堪能できる「幸せ」なお祭り
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女川町は復興計画を進めるにあたり、元々は海の近くにあった駅や役場、人々が暮らす住宅などを町の高台に再建しました。2014年に『女川町復幸祭』という現在の名称になったお祭りは、JR女川駅や商業エリア「シ―パルピア」の開業といった復興の歩みとともに拡大し、他県からも多くの来場者が訪れています。
多くの人々のお目当ては、女川自慢の“海の恵み”です。 養殖が盛んな牡蠣やホタテ、新鮮で豪華な海鮮丼、平成29年度農林水産祭天皇杯を受賞した「高政」のかまぼこなど、たくさんの海産物を堪能することができます。 著名人や人気アーティストが出演するステージイベントなどの催しも用意されるほか、シーパルピアにはおしゃれなカフェ、居酒屋もあり、女川の魅力を味わい尽くせる、まさに「幸せ」を詰め込んだお祭りなのです。
今年、2019年は3月23日(土)~24日(日)に開催されます。「復興を超えて、新しいものへ生まれ変わってほしい」という願いを込め、「女川町復幸祭FINAL」と命名されました。「復幸祭」としては一旦終止符が打たれますが、女川の強さを象徴する行事は、形を変えながら女川復幸男とともに続いていくことでしょうね。
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「逃げろ!」というメッセージを伝える年中行事として、何十年、何百年と残していくために生まれたお祭りは、まさに「未来に残したい行事」です。開催日に宮城県を訪れる方は、ぜひ女川町まで足を運んでみてはいかがでしょうか。

■参考:女川町復幸祭公式サイサイト
http://onagawa-fes.info


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「七夕まつり」とは東北三大祭りの1つで、仙台市で毎年8月に開催されています。
仙台七夕まつり固有の飾り付けは"7つ飾り"と呼ばれ、7種類の飾りにそれぞれ意味があります。学問や書の上達を願う飾り、清潔と倹約を願う飾りもあります。それぞれの飾りの意味を知り、どこに飾られているのかを探しながら見るのも仙台七夕の楽しみ方の一つです。

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