更新日:2018年05月11日
Japan Vision Vol.108|未来に残したい取組
香川県丸亀市
丸亀うちわニュー・マイスター
今回は「丸亀うちわニュー・マイスター」をご紹介します。
「丸亀うちわ」は、丸亀地方に古くから伝わる、「涼」を楽しむための伝統的工芸品で、職人の繊細かつ、鮮やかな手仕事により、1本の竹から作り出されるうちわです。
その起源は江戸時代初期まで遡り、慶長5年(1600年)に丸亀の旅僧が九州で一宿のお礼にうちわの製法を伝授したのが、熊本来民うちわの始まりと言われています。寛永10年(1633年)になると、金毘羅参りのお土産として天狗の羽団扇にちなむ朱色に丸金印の『渋うちわ(男竹丸柄うちわ)』作りを考案。その後、丸亀藩が藩士の内職にうちわ作りを奨励するなど、代表的なうちわ産地としての基盤を築いて行きました。
うちわ作りの職人が多く在住していた丸亀では、やがて全国から特色あるさまざまなうちわ作りを任されるようになり、現在では国内シェア9割にも上り、年間実に1億本以上もの生産量を誇ります。 平成9年には国の伝統的工芸品に指定されました。
1本1本に趣があり、優美なその姿は、長く受け継がれてきた伝統と、卓越した職人技によって支えられています。使用される材料はすべて丸亀地方近隣から揃え、47もの製造工程のほとんどは、職人の手仕事で進められています。地紙ひとつとっても、素材の厚さにより糊の濃度を調節し、破れにくくするなど、最高の材料と卓越した職人技の集大成なのです。
■「丸亀うちわニュー・マイスター」とは?
「丸亀うちわ」の全製作工程の技術・技法を身に付け、うちわ作りに携わる人を認定し、さらなるうちわ製作技術の継承・発展と人材の確保・育成を行うことを目的に、香川県うちわ協同組合連合会が制定したものです♪ 現在28名の「丸亀うちわニュー・マイスター」がおり、9名の伝統工芸士と共に、「丸亀うちわ」の伝統と技術の継承・発展を支えています。(※平成30年4月現在)
香川県うちわ協同組合連合会では、基本的な技術・技法を14日間かけて習得することができる「丸亀うちわ技術技法講座」を毎年開催(今年で21回目)しているほか、誰でも製作体験ができて、世界に一つだけの「丸亀うちわ」が作れるイベントなども開催し、伝統工芸士と「丸亀うちわニュー・マイスター」の方々が丁寧に作り方を教えています。素晴らしい伝統的工芸品を未来にのこすため、地域一体となって取り組む、まさに「未来に残したい取組」ではないでしょうか。
「丸亀うちわ」公式サイトのギャラリーでは、伝統工芸士・丸亀うちわニュー・マイスターが製作したうちわ、和紙職人やクリエーターとコラボレーションしたうちわなど、個性溢れるさまざまなうちわが紹介されています。古き良き伝統を守りながらも、時代の移ろいとともに進化し続ける「丸亀うちわ」の数々を、皆さまもぜひご覧ください。
■参考サイト:丸亀うちわ公式サイト
http://marugameuchiwa.jp/
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