更新日:2018年09月07日

Japan Vision Vol.122|次世代の匠 東京都文京区
原田左官工業所 工事部主任
高木翼さん

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Japan Vision Vol.67にご登場いただいた、原田 宗亮(はらだ むねあき)さん(※)が代表を務める原田左官工業所で、「工事部主任」として活躍中の、高木 翼(たかぎ つばさ)さんをご紹介します。
原田左官工業所では、鏝(こて)で塗り上げる伝統的な漆喰(しっくい)の壁だけでなく、木や藁(わら)、石や貝殻などさまざまな素材と豊富な色味、そして無限に広がるデザイン力を活かして、お客さまの多様なニーズにお応えしています。そして独自の人材育成ノウハウによって育った多くの若手職人さんたちが、その伝統技術と新しい価値を生み出す原動力となっているのです。

今日ご紹介する高木 翼さんは、もともと職人の世界とは無縁でしたが、友人の奨めで「左官」の仕事に出会い12年前に入社。それ以来、左官の魅力と長くカタチが残るモノ作りの面白さに気付き、現在は工事部主任として現場で活躍しながら、若手の指導・育成にも力を注いでいます。そんな『次世代の匠』のメッセージを、皆さまもぜひご一読ください。

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左官の魅力はとにかく「飽きない」こと。

日々、さまざまな現場に行かせていただきますが、現場ごとに空間の雰囲気もご依頼いただく内容も異なりますし、お客さまのニーズ・求める世界観に合わせて、使用する材料も本当にさまざまです。似ている現場やデザインはあっても、すべてがオリジナルで、世界に2つとないものです。現場によって難易度の差はありますが、どの仕事も仕上がった時の満足感は他では味わえません。また、作るものが毎回違うのでいつも新鮮で、とにかく“飽きない”こと。これが僕にとっての左官の魅力です。
ただし、面白い仕事だけに修業は大変です。1年目の時に初めて現場で「ここを塗ってみろ!」と指示された場所が、お客さまのご自宅の「押入れ」でした。とても狭くて塗りづらく、苦しい体勢で仕事をしていたところ、親方から「上手くなったら早くそこを抜け出せる。だから最後までがんばれ!」と言われたことが印象に残っています。もちろん、最後の仕上げやチェックは先輩たちがフォローしてくれるのですが、社内での技術研修と並行して、厳しい現場もたくさん経験します。現場を経験するということは、お客さまとも接するため、先輩たちの正しい話し方やお客さまのご要望をどうまとめるか!といった“ノウハウ〝も自然と身についていくのです。自分もそうでしたが、左官は手先の技術だけでなく、身体の上手い使い方を覚えることも重要ですので、それをしっかり覚えるまでは、相当な体力も必要です。それらを現場の緊張感の中で経験していくことで、若い職人たちも早い段階から責任をもって現場を受け持つことができるようになります。

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自分の家だったら?

左官の仕事をするうえで、いつも心掛けているのは、「自分の家だったら?」と考えることです。お金を払ってくださるお客さまの立場を自分ゴトとして捉えて、「自分だったら、こういう提案が嬉しいのではないか?もっとこうして欲しい!と思うのではないか?」と常に自問自答する姿勢です。いい仕事をするには技術だけでなく、そういった意識が大事だと思います。
僕は現在、「工事部主任」という立場で、“番頭さん”がお客さまとやり取りして決まったことをカタチにする役割、つまり現場で「作る専門」の仕事です。お客さまのお話やご要望をお聞きして、さまざまな提案を行い、最終的に作るカタチのイメージを固めて行く“番頭さん”という、プロデューサーの仕事もこれからぜひ経験させていただきたいことですが、今は職人として、とにかくたくさんの現場を経験して、お客さまのニーズをカタチにして行きたいと思っています。

原田左官工業所には、独立していく職人さん、独立を目標にしている職人さんもいますが、僕はそう考えていません。原田左官工業所では、伝統の技術に沿った仕事、伝統を活かして左官の可能性をさらに広げるための仕事など、本当に多くの経験をさせてもらえるからです。これからも先人たちが受け継いできた技術、12年間学んできた技術や経験をさらに発展させて、左官の魅力と可能性を追求していきたいです!



■Japan Vision Vol.67|地域の未来を支える人 (※)
原田左官工業所 代表取締役社長
原田 宗亮さん
http://web-ic.fukoku-life.co.jp/japan-vision/067.html

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